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パリエアショー第二弾 MRJを応援したい | HyappenMarketing

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パリエアショー第二弾 MRJを応援したい

MRJ 初の実機展示

 

2017年6月に行われた世界最大の航空ショー、パリエアショーにMRJが初めて実機展示されました。これまでモックアップ展示などはあったものの、実機を持ち込んで展示するのは初めてです。

 

MRJは今、計5機の試験飛行機を用いて米国のワシントン州モーゼスレークで、型式証明取得のための試験飛行を行っている真っ最中です。その中から、三号機をローンチカスタマーであるANA塗装に塗り替えて展示しました。

 

 

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上段:パリエアショーで出展されたMRJ

下段:機内は配線がむき出しの状態です

 

 

試験機を持ち出すことは何度も延期を発表している計画に対して不必要であるという議論はあったものの、この出展は、MRJの開発が順調に進んでいることをアピールする狙いでした。三菱重工の宮永社長は、

「かなりの完成度に来ている。そこをぜひ見て頂きたい」

と述べ、またANA塗装でパリエアショーに持ち込んだことについては、

「ANAには遅れを待っていただいて申し訳ない。機体開発がここまできていると、航空ショーでお客様の為に全力でやっていることをお示しする、強い気持ちの表われだ」

と述べました。

 

MRJのシャレーでは、プロジェクションマッピングを使った動画や、MRJのシートに座りながらVRで機内を体験できる展示など、新たなテクノロジーを駆使した展示がみられました。

 

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上段:MRJの塗装が模型に投影される。様々なエアラインの塗装にすることが可能。

下段:機内を体験できるVR設備

 

 

MRJは、これまで計5回も納入時期を延期し、ANAは遅れのために機材調達を変更する等、各方面への影響は避けられないものとなっています。

 

特に、今年の1月に発表した、完成機納入時期を18年半ばから20年半ばへ延期するという発表は、機体設計にかかわる重要な変更が発生したためであるようです。

 

設計変更は何が原因か?

 

今年の一月に三菱航空機は、初号機納入を二年後ろ倒し、20年半ばへ延期すると発表しました。航空機のアビオニクスが集中して配置されている「アビオニクスベイ」において、安全性を高めるために機器を配置しなおす為です。

 

問題のうちの一つは、MRJに搭載されている三つのフライトコントロールシステムが全て同じアビオニクスベイに配置されていることで、水が浸入する等の問題が発生した場合全てのシステムがダウンしてしまう可能性がありました。リスクを分散し安全性を高めるために、これらを分散配置し、それに伴い23,000本にも及ぶ配線をやり直す必要が生じています。そのため、初期段階からの設計変更を余儀なくされています。

 

このことを三菱航空機は認識していなかったわけではありませんでした。しかし、本来ならば必要なそのリスク分析が、機体の認証において必ずしも必要でないと考えていたようです。

 

三菱航空機販売マーケティング担当副社長、福原裕悟氏は「様々な点から考えると、アビオニクスベイ機器配置のもともとの設計は非常に効率的であった。しかしながら、同時にその機材配置を承認するには非常に複雑な過程が必要で、承認を簡易化するという点から考えると、我々の設計はいいものではなかった」と述べています。

 

この機器配置の承認リスクを提言したのは、外国人専門家でした。戦後初めてのジェット機を開発している三菱航空機は、航空機の承認作業を進めた経験がありません。経験不足で何度も遅延を発生させた三菱航空機は、この問題を解決するべく多くの航空機承認に携わった経験のある外国人専門家をかき集めています。1900人が働く三菱航空機において、今や300人が外国人であり、プログラムマネジメントとエンジニアリングマネジメントという重要な二つの部署は、現在日本人以外によって率いられています。

 

(paris air show news を参照)

 

 

これらの状態から見るに、三菱航空機が何度も述べている「経験不足」とは、単にジェット機のものづくりに対してではなく、「出来上がった航空機を承認させること」に対するものであり、もっと言えば、「購入者に約束したパフォーマンスを発揮する航空機を製造させること」に対するものでもあります。

 

 

とはいえ、この生みの苦しみは、日本航空産業界にとって大きな財産になるのは間違いなく、同産業界は必ずこの財産にレバレッジを掛けて、事業戦略・事業計画・組織設計に活かさなければいけません。あのエアバスでさえ、ボーイングに対抗するために国の支援を受け、現在まで成長しています。MRJに対しても、長期的な目線で応援し続けることが必要です。