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Boeing / Airbus 次世代機開発に関する展望 

Boeing797とは

 

 

Boeingが現在開発を検討している新型旅客機(NMA:New Market Airplane)が、一般的に797と呼ばれています。今年の6月に開催されたパリエアショーでその詳細が初めて公開されました。

 

Boeingのシリーズには、new generation737、737MAX、747、767、777、777X、787と多彩なシリーズがあります。797がどこのポジションを取ろうとしていて、どういった点でNew Marketなのかを理解するためにも、一旦これらのシリーズを整理しておきましょう。

 

Boeing Family

 

これらのシリーズは大きく「単通路(ナローボディー)機」と「双通路(ワイドボディー)機」に分けられます。読んで字の通り、単通路機には客室に通路が一本、双通路機には通路が二本あります。一般的に単通路機は小さく短距離国内線、双通路機は長距離国内線あるいは国際線に使用されています。近年LCCがこぞって使用しているエアバス社のA320は、単通路機です。

 

Boeing現行機種まとめ

Boeing website公開情報をもとにHyappen Marketingが分析

 

現行のBoeing Family(開発中を含む)を横軸に航続距離[km]、縦軸に一般的な座席数をとりプロットしてみました。737及び737MAXシリーズがナローボディ機、それ以外がワイドボディ機に分類されています。

 

このようにして整理してみると、空白の地帯が浮かび上がってきます。航続距離が9000km、座席数250席あたりがぽっかりとあいていて、この領域をカバーする航空機をBoeingは現在生産してません。Boeingは、この領域に797を投入しようとしています。

 

Boeing現行機種まとめ_ver3

 

 

Boeingによれば、NMAは737と787の間を埋める目的があります。

「737と787の間には100席のギャップがある」

とBoeing Commercial AirplanesのCEOであるKevin McAllisterはいいます。

「そこにはチャンスがあります。世界のダイナミクスがそれをサポートしてくれます。我々は、757と767の置き換え機会がある市場を有しています。」

 

 

どのような機体になるのか

 

Boeingによると、50以上のエアラインやリース会社との話し合いを通じて、NMAは

 

2クラス250席以下のコンフィギュレーション

 

最大5000マイル(9260km)の航続距離

 

ドアクローズからオープンまでに消費する1シート当たりの燃料が5ガロン(9リットル)以下

といった仕様が求められていると述べました。

Screen-Shot-2017-06-07-at-5.23.47-AM-1024x767

image courtesy of Boeing

 

これを先ほどの図にプロットすると以下のような位置づけとなり、ちょうど空白の部分を埋めることが分かります。

 

797

 

 

NMAナローボディ機になるかワイドボディ機になるか等の詳細はいまだ明かされていませんが、2020年半ばの初飛行及び就航を目指しています。

 

航空会社に対する需要

 

座席数及び航続距離に対しては空白の地帯があることがわかりましたが、この部分にはまる航空機は、どのような需要があるのでしょうか?

 

Boeingによれば、NMAの目的は以下の5点あります。

 

 

新しくかつ収益性の高いマーケットを開拓できること

 

新しいビジネスモデルを可能にすること

 

既存ルートの収益を増加させること

 

運用効率改善のためのネットワーク再構築が出来ること

 

ターンアラウンドの時間を減少出来ること

 

Screen-Shot-2017-06-07-at-5.24.10-AM-1024x768

image courtesy of Boeing

 

これらは、具体的には以下のような需要であると考えられます。

 

Boeing757の置き換え

 

 

一点目は、Boeing757の置き換え需要です。

 

757は、かつて767と同時並行で設計され、1000機以上製造された単通路(ナローボディ)機です。757には757-200および-300の二つのシリーズがあります。757-200は2クラス200席・航続距離7222km、757-300は2クラス243席・航続距離6287kmとなっています。

 

757は2004年に製造が終了したのち、後継機開発は行われず、このクラスを置き換えるには座席数のより少ないナローボディ機か、座席数の多いワイドボディ機に置き換えるしか選択肢はありませんでした。

 

そんな757は、日本国内ではほぼ見かけることはありませんが、欧州や米国で多数運用されています。

米国の航空会社を見ると、米大陸横断路線や国内線に投入している事例が目に付く。

引用元:Aviation wire “「797」ってどんな機体? 特集・検討進む757後継機”

 

現在でも600機を超える757が現役で運用されているといわれており、これらを置き換えるとすれば797になると予想されます。

 

A330及びB787の代替手段

 

 

二点目は、中距離路線に使用されているA330やB787の置き換えとして利用されることが考えられます。

 

近年中長距離を運用するLCCが増加しています。その一方で、現行のB737あるいはA320の航続距離以上の距離を運用するとなれば、A330やB787を導入するしか選択肢はありません。どちらもワイドボディ機で航続距離1万キロ以上を有し、オーバースペックになってしまう可能性があります。

 

東南アジアの中距離LCCであるエアアジアXはA330を、ノックスクートは777を、スクートは787を運用しています。しかし2015年には3社とも赤字となるなど、短距離路線を運用するLCCが好調な一方で、中長距離路線LCCの不振が目立ちました。

 

797の航続距離であれば、東南アジアの中距離路線をカバーできます。従って、今まで運航効率が悪かった路線、あるいは運航効率の悪さから見送られていた路線を新規開設することが出来ます。

 

直径9000kmの円を東南アジア上に描くと以下のようになります。

 

直径9000kmの円

Google MapをもとにHyappen Marketingが編集

 

 

東南アジア路線は今後拡大の一途をたどると予測されており、この地域において重要な機材となる可能性があります。

 

(関連記事:LCCとFCS(フルフラッグキャリア)のフクザツな関係)

 

 

エアバスの対抗策

 

エアバスは、このボーイングの動きに対してどのように対処しているのでしょうか。

 

エアバスは、A320neoの派生型(胴体延長型)のA321neoに対して、より航続距離を伸ばしたA321LRを開発し、これを対抗策としています。そのスペックは、2クラスで206席、航続距離7408kmとなっています。(Airbus websiteより)

 

これは、757は航続距離7000km程度でありその置き換えには十分であると考えられますが、797が想定するほどのスペックは有していません。

 

797&A321LR

 

 

797は本当にローンチするのか

 

需要が十分にありビジネスとして成立すると判断されれば、あと数年で開発が開始されるであろう797。757の所有数からして、ローンチカスタマーは北米の航空会社になるのでしょうか。開発も、MBSE(Model Based Systems Engineering)という、革新的な手法を用いると言われています。

 

果たして開発は開始されるのか、一体どのような機体になるのか、Boeing797に注目です。