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A380エンジン爆発事故について | HyappenMarketing

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A380エンジン爆発事故について

A380のエンジンが大破し緊急着陸

 

先日、エールフランスが運航するA380が、エンジン大破のため緊急着陸したというニュースが報道されています。

 

エールフランス航空(AFR/AF)がエアバスA380型機で運航していたパリ発ロサンゼルス行きAF66便(登録番号F-HPJE)が現地時間9月30日、カナダ東部のグースベイ空港に緊急着陸した。4基あるエンジンのうち、右外側の第4エンジンが大きく損傷したため。

 

-Aviation Wire, “エールフランスのA380、エンジン損傷し緊急着陸 LA行きAF66便By Tadayuki YOSHIKAWA”

 

乗員乗客は合わせて520名で、カナダに緊急着陸したのち777-300ER及び737でそれぞれアトランタ、ロサンゼルスへと向かったとのことです。

 

ネット上で確認できる写真を見ると、第四エンジンの前方部分が大きく破損し、カバーがなくなってしまっています。ファンが離脱し、圧縮機がむき出しになっているようにも見えます。

 

engine_failure

破損した第四エンジン

Twitterアカウント「@Bdaddy1391」の投稿写真

 

 

 

エールフランスによれば、BEA(フランス航空事故調査局)や機体メーカーのエアバス、エールフランスなどで機体の調査を進めているといいます。

  

A380について

 

A380は、エアバス社によって開発された、世界最大の旅客機です。2005年に初飛行、2007年に運航が開始されました。

 

総二階建ての4発ジェット旅客機で、3クラス500席以上、モノクラスにするとなんと800席の収容力を誇ります。救援便のために、日本のエアラインが長距離国際線の主力とする777-300ERだけでは足りず、737までも使用していることからもその巨大さが伺われます。

 

世界でこの巨人機を運用しているエアラインは全部で13社、2社がこれからの導入を予定しています。これまでに317機を受注し、215機を引き渡しています。特筆すべきはエミレーツ航空で、現在97機と引き渡し全機数の約半分の機数を運用しています。

 

 

航空会社

引き渡し機数

未納機数

装着エンジン

Air Accord

0

3

エールフランス

10

0

EA

全日本空輸

0

3

RR

Amedeo

0

20

アシアナ航空

6

0

RR

ブリティッシュ・エアウェイズ

12

0

RR

中国南方航空

5

0

RR

エミレーツ航空

97

45

EA(1-90号機)/RR(91号機-)

エティハド航空

10

0

EA

大韓航空

10

0

EA

ルフトハンザ

14

0

RR

マレーシア航空

6

0

RR

カンタス航空

12

8

RR

カタール航空

8

2

RR

シンガポール航空

19

5

RR

タイ国際航空

6

0

RR

ヴァージン・アトランティック航空

0

6

RR

未発表

0

10

合計

215

102

 

 

月刊エアライン11月号(2017/11/1発行)より引用

 

 

二つのエンジン、Trent900とGP7200

 

A380には、Trent900とGP7200の二つのエンジンが用意されています。Trent900は、ロールスロイス社により、GP7200はGEとP&Wの合弁会社エンジン・アライアンスにより開発、製造されています。

 

引き渡しされた機体のうち、Trent900が95機、GP7200が120機とGP7200が優勢ですが、最大の発注数を誇るエミレーツ航空が91機目以降をTrent900で発注しているのもあり、未納機数ではTrent900が69機、GP7200が0機とTrent900が大きくリードしています。

 

シリーズ

引き渡し機数

未納機数

合計

Trent900

95

69

164

GP7200

120

0

120

不明

0

33

33

 

 

今回エールフランス航空A380に搭載されていたエンジンはGP7200でした。

 

以前にも、A380はエンジンが大破し緊急着陸しています。

 

カンタス航空32便エンジン爆発事故

 

 

2010年に発生した、カンタス航空所属のA380の左翼第二エンジンが大破し、緊急着陸を余儀なくされた事故です。

 

シンガポール・チャンギ国際空港からシドニー空港に向け離陸した機体は、その数分後に第二エンジンが爆発しました。その爆発が燃料漏れを引き起こし、また油圧系統の一部や操縦系統の不具合等を引き起こしました。パイロットは何とか飛行可能であることを確認し、事態発生から二時間後にチャンギ国際空港に緊急着陸することが出来ました。これは、A380にとって最初の事故でしたが、乗員乗客は全員無事でした。

 

このカンタス航空のA380には、Trent900が搭載されていました。その後の調査で、オイルパルプで疲労亀裂が発生し、オイルが漏れ出て中圧タービンに引火、爆発につながったということが判明しています。このオイルパルプで疲労亀裂が発生した原因は、ロールスロイス社の製造ミスであり、そのほかのエンジンについても点検・部品交換が行われています。

 

その後の調査により、ロールスロイス・トレント900エンジンの高圧/低圧軸受にオイルを供給するスタブ管で疲労亀裂が発生し、そこから漏れたオイルが発火して中圧タービン(トレント900は三軸)の破壊を引き起こしたことがわかった。スタブ管に疲労亀裂が発生したのはロールスロイス社の製造ミスによるもので、同エンジンを装備するA380を緊急検査した結果、いくつかのエンジンで同様の欠陥品が発見され交換された。

 

月刊エアライン11月号(2017/11/1発行)より引用

 

エアラインへの影響は

 

今回の事故は、前回とエンジンの種類(Trent900とGP7200)がそもそも異なり、破損している箇所(タービン付近とファン付近)も異なるので全く性質の異なるものであると考えられます。

 

幸いにして、今回の事故で乗客乗員にけが人はありませんでした。

 

今回の事故が今後A380のオペレータたちにどのような影響を与えるのか、観察を続けたいと思います。