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10兆円企業の誕生はなくなりそうです―HoneywellとUnited Technologies(UTX)の統合破談(?)について―

2015年にHoneywellがUTXに提案したことから始まった経営統合話、最近のニュースでは破談になりそうだとのことですね。(CNBC, 22 Feb 2016)

2000年にはUTXがHoneywellに買収を提案し、GEが割って入って破談になってますから、この縁談に対する現・旧経営陣の思い入れは相当に強いものがあったでしょう。

UTXはコメントとして、「規制(アンチトラスト)、顧客の強い憂慮、企業価値算出上の問題などに打つ手を失った」としています。実際に、BoeingもAirbusも、公式にこの経営統合案に反対の立場を表明していました。(Financial Times等)

 

 

 

Kevin Michaelsさん(Vice President, ICF International)は、LinkedIn内のブログで、ビジネス観点からこの統合案の破談理由について分析しています。彼の許可をもらったので、以下、要約を日本語で共有します。(原文はこちら

 

この統合案が素晴らしいアイデアとは言えない理由は3つあります。

 

まず、統合後のAerospaceビジネスは、非常にConcentrationが高く(寡占率が高く)、規制当局を納得させるにはあまりに難しいものであった。

―Auxiliary Power Units: マーケットシェアほぼ100%

―Electrical power/generation: 50%超

―Environmental Control Systems: 50%超

―Small Propulsion Engines: 50%超(Pratt & Whitney CanadaとHoneywell の20K級 thrust aeroengineビジネス)

―Wheels & brakes: 50%超

 

次に、BoeingやAirbusが血眼になってリードしている原価低減努力(例えば、Partnership For Successと呼ばれる取り組み)に対して、正面から冷水を浴びせる行為になった。BoeingやAirbusが比較的小規模な企業に積極的にコンタクトを開始していることや、サプライチェーン内の垂直統合を推進するなどは、この統合案への対抗策とも捉えられる。

 

最後に、統合によって追加的に生み出される利益改善幅は、大きくは期待できないこと。HoneywellもUTXも、相当に高いレベルのリーンオペレーションが実践されており、オーバーヘッドの合理化、生産設備の合理化、あるいは調達力の強化が図れたとしても、すでに10%後半の営業利益率をさらに伸ばすことは難しいと想定される。

以上、要約。

 

 

日本のメーカーさんはどう捉えているのでしょうか。大変興味があります。肯定的に見ても否定的に見ても、共通して言えるのは、航空機・エンジンの製造市場のトップに君臨するプレイヤーは、「神経系」すら繋がっているホンモノのサプライチェーンを作ろうとしているということではないでしょうか。

 

しかもその意思は、できたら良いなレベルではなく、必達レベルに強固と見えます。「言ってくれりゃ、うちなら何でもできるよ」レベルの技術力や、疑似的に統合された製造工程では話にもならない世界。国内メーカーさんを手伝う身として、自身もステップチェンジせねばと気を引き締める次第です。