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Airbus、Boeingが仕掛ける航空業界再編

BoeingがEmbraer買収に向け交渉

 

AirbusのBombardier社Cseries事業買収に引き続き、今度は航空機産業の雄Boeingに関するビッグニュースです。

 

各所が報じるところによると、BoeingとEmbraerは協業を検討し、BoeingがEmbraerを買収する方向で交渉が進められているといいます。BoeingはEmbraerの時価総額を大幅に超える価格を提示していますが、いかなる提携もブラジル政府の承認が必要であるとのことです。

 

この動きは、明らかにAirbusのBombardier社Cseries事業買収に対抗する狙いがあるとみられます。なぜなら、世界的に見ても100席級の民間航空機を製造している会社は数える程しかなく、シェアをとることが非常に重要になっていると考えられるからです。

 

世界の民間旅客機製造メーカー

 

かつての航空機産業の中心はアメリカで、ロッキードやマクドネル・ダグラス、ボーイングが航空産業を牽引していました。欧州でも完成機メーカーは何社か存在し、ブリティッシュエアロスペースやダッソー、ホーカー・シドレー、ビッカース等が100席級の旅客機を製造していましたが、ロッキード・ダグラス・ボーイングの足元にも及ばぬ状況でした。

 

そんなアメリカ占有の状況を打破するために、フランス・ドイツによる企業連合として生まれ、その後スペインとイギリスが参加したのが今のエアバスです。その後はボーイングと市場を二分する巨大企業に成長し、両社熾烈な競争を繰り広げています。

 

アメリカでも1900年代後半に大型ジェット製造機メーカーの合併、統廃合が相次ぎました。ロッキードは1984年に旅客機部門から撤退し、マクドネル・ダグラスは1997年にボーイングに吸収されています。

 

このように、世界のジェット機製造メーカーが合併・統廃合を繰り返した結果、現在では大型ジェット機ではBoeing vs. Airbus、リージョナルジェット機ではBombardier vs. Embraer、ここに中国やロシア、そしてMRJが割って入ろうとしているという構図になっています。

 

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中国のCOMACは、最大90席のリージョナルジェットであるARJ21を製造しているほか、先日の記事にあるようにA320やB737級のC919を開発しています。(「世界のCOMAC(中国商用飛機)」になる日

 

また、ロシアでは政府主導で業界再編がなされ、スホーイ、イルクート、ミグ、ツポレフなどの航空機メーカーが集約し、UAC(United Aircraft Corporation:統一航空機製造会社)が2006年に誕生しました。4発ワイドボディ機であるIL-96、ロシア版のボーイング757と言われるTu-204などを製造しているほか、これらの機種の販売状況が厳しく設計も経年化しているために、後継機として100席級のSukhoi Superjet 100、150-200席級のMS-21を開発・製造しています。

 

旅客機メーカーの生き残り戦略

 

そしてこれまでに報道されたように、AirbusはBombardierのCseriesを買収しリージョナルジェット部門を自社のラインナップに加えました。(Airbus、カナダのBombardier社C series事業に出資

 

BoeingとEmbraerも統合を模索しています。

 

さらには、COMACとUACは共同で次世代の長距離ジェット旅客機を開発するために、2017年5月に上海に合弁会社「中露国際商用商用飛機有限責任公司」(CRAIC)を設立しました。今年の9月には初期設計が開始され、CR929と命名されました。ワイドボディ機で航続距離は12,000km、標準座席数280席となる予定です。

 

COMACはナロウボディ機でC919を開発しており、「CR 929」と一貫性が保てるだけでなく、UACが手がけるMS-21-200、-300、-400と関連させ、「CR 929」からCR 929-500、-600、-700と民間機のポートフォリオに一貫性を持たせることができると、両社の開発中の機種も意識した命名となりました。

 

[Fly Team ,”UACとCOMAC共同開発のワイドボディ機CR 929、初期設計に移行”, 2017/9/29]

 

 

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これらの動向により、世界の民間旅客機メーカーが3つのグループ、Boeing-Embraer連合、Airbus-Bombardier連合、中国-ロシア連合に統合されようとしています。

 

日本の航空産業はどう立ち向かうのか?

 

日本の航空産業はこの潮流に取り残されるわけにはいきません。

 

業界は以上を見てきたように、非常に大きなうねりを見せています。日本勢だけが、従来通りの成長曲線が許されるとは考えられません。

 

 

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Flight Global “ANALYSIS: Top 100 aerospace companies grow more profitable”をもとにHyappen Marketing編集

 

 

完成機のみならず航空製造メーカーとしてみたときに、2017年のランキングに日本企業が現れてくるのは16位三菱重工業、30位IHI、37位川崎重工、59位富士重工、77位JAMCO、96位新明和工業です。

 

この立ち位置を考えれば、市場での日本勢のポジション、プレゼンスを上げるためには戦略的かつダイナミックな意思決定が必要となるのは自然でしょう。

 

 

この記事の執筆にあたり以下を参照しています

[COMAC website]

[UAC website]

[旅客機年鑑2016-2017,イカロス出版]