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「世界のCOMAC(中国商用飛機)」になる日

C919の爆売れっぷり

中国商用飛機(COMAC)は、2017年6月13日に、EverBright Financial Leasing Co.(北京)とC919を30機購入することで枠組み合意しました。これにより、COMACは国内外に24社のC919カスタマーを持ち、600機のオーダーを得たことになります。

引用元:[Avitrader, june 14,2017]

 

COMACとは、中国の上海に設立された民間航空機製造会社です。一旦C919の仕様を整理しておきましょう。

 

C919の仕様

 

C919は、標準座席数158-168席、航続距離4075-5555kmの単通路機体です。今後世界で最も需要があると予測されているシリーズであるエアバスA320シリーズ及びボーイング737と同じクラスで、この二強と競う位置付けがされています。実際に、A320neoやB737MAXと同じシリーズのエンジン:Leap-1を装備することからもわかります。

 

C919は、昨年の11月2日にロールアウトし、今年の5月5日に初飛行を成功させました。初号機納入は、2019年の見込みとなっています。

 

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写真:2017年6月に行われたパリエアショーでもCOMACはブースを出展。C919などの模型を展示しました。

 

 

その一方で、今のところアメリカ連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関(EASA)の型式証明は取得できておらず、中国国内での運用に限られたものになっているようです。(但し、中国の安全基準が認められたアフリカやアジアの一部の国での運用は可能と言われています)

 

それでも、短距離機であるC919は、経済発展著しく、世界第四位の面積に世界一の人口を抱える大国では十分な需要が見込めるようです。

 

拡大する中国航空市場

 

米ボーイング社によると、今後20年で全世界において39,620機の新造機が引き渡されると予測されています。そして、中国航空機市場における新造機の需要は6810機、一国のみで世界需要の17%を占め、世界で初めて1兆ドル規模の市場となると予測されています。

 

そのなかでもC919や737シリーズが該当する単通路機(90-230席クラス)は5,110機と中国新造機需要の75%もの割合を占めています。

Boeing Commercial AirplanesのRandy Tinseth副社長は、

「中国顧客の過去の動向を見れば、単通路機市場の主役は737MAXと新世代の737-800であることは明らかだ」

と述べています。

 

このように、C919クラスも含めて、中国航空機市場は積極的な需要予測がなされています。

 

この巨大市場を取り込もうと、中国がC919クラスを投入しようとしているだけではなく、ボーイングやエアバスも積極的な姿勢を見せています。

 

ボーイング・エアバスの中国進出

ボーイングの動き

 

昨年の9月、ボーイングは中国と、航空機計300機を購入し、中国がボーイングと合弁で737の組み立て工場の一部(仕上げ工程を担う工場)を中国に設立することに合意しました。

 

これまでボーイングは、自国の航空機製造技術流出を懸念し工場移転に消極的でしたが、シェア獲得のために背に腹は代えられぬという姿勢を見せたのではないかと考えます。

 

積極的なエアバス

 

また、エアバスはボーイングよりはるかに積極的な関係を築いています。

 

今から9年前の2008年に、中国航空工業集団公司との共同事業で、欧州以外では初めてとなる天津にA320の最終組み立て工場を稼働させました。その結果は絶大なものでした。中国国内からの受注を大量に受け、エアバスの中国でのシェアはこの10年で30%から50%にまで増加しています。

 

この成果はエアバスにとって非常に重要であったのでしょう。昨年7月には、a330の完成・引き渡しセンターも設立することにも合意しました。また、エアバスに多くの人材を供給し、研究の面でも結びつきが深いフランスの航空技術者養成学校ISAE-SUPAEROはエアバスと共同で、先に述べた組み立て工場のある天津に航空関連の学校を設立しています。

 

これらをみるに、エアバスは将来を見据え中国と深い関係を作ろうとしているように見えます。

 

行く末は

 

工場を中国国内に進出させることで、エアバス・ボーイングは航空機購入の恩恵を受けシェアを獲得することが出来るという構図が出来上がっています。その一方で、この二強が中国で生産を行っていくことによって、技術流出、または中国製造メーカーが自前の技術を向上させることが出来るでしょう。

 

C919に目を向けてみると、中国エアラインがC919を購入し国内で運用していくことによって、知見や技術の蓄積がなされていくはずです。これら二つの効果によって、これから中国全体の技術レベルが向上し、C919の品質が向上してくことは間違いないでしょう。

 

2017年5月にはCOMACはロシアの統一航空機製造会社(UAC)と航空機を共同開発・製造する合弁会社を設立したという動きや、同年にはボンバルディアの民間航空機部門あるいは次世代航空機シリーズであるCシリーズを買収するための協議をしたという報道もなされています。C919はEASAに型式証明を申請しているという報道もあり、COMACが「世界のCOMAC」になる日はそう遠くはないかもしれません。